ドメインとIPアドレスの関係 1対1ではない理由とIPアドレスを管理する仕組み

ドメイン名は、数字の並びであるIPアドレスを、誰もが覚えやすく扱いやすい名前に置き換えるために考案されたものだ。そのため「ドメイン=IPアドレス」と考えられがちだが、実際には1つのIPアドレスで多くのドメインのサイトが動いていたり、反対に1つのドメインが複数のIPアドレスを持っていたりする。今回は、2026年時点の仕組みを前提に、ドメインとIPアドレスの関係と、IPアドレスを管理する仕組みを紹介していこう。
IPアドレスはインターネット上の住所
インターネットでは、通信する相手をIPアドレスという番号で識別している。現在広く使われているIPv4のアドレスは、「192.0.2.1」のように、0〜255の数字4つをピリオドで区切って表す。約43億通りしかないIPv4のアドレスは、アジア太平洋地域では2011年に通常の割り振りが終わっており、より桁数の多いIPv6(例:2001:db8::1)の利用も広がっている。
また、すべてのコンピュータがインターネット上で固有のIPアドレスを持っているわけではない。家庭や会社のパソコンやスマートフォンは、ルーターの内側でだけ使うプライベートIPアドレスを割り当てられ、インターネットとはルーターが持つ共有のグローバルIPアドレスを通して通信するのが一般的だ。一方、WebサーバやメールサーバはグローバルIPアドレスを持ち、基本的には変わらないことを前提に運用されている。
ドメイン名とDNSの役割
ブラウザにドメイン名を入力すると、まずDNS(ドメインネームシステム)がそのドメイン名に対応するIPアドレスを調べ、その結果をもとに目的のサーバへ接続する。ドメイン名からIPアドレスを求めることを「正引き」、IPアドレスからドメイン名を求めることを「逆引き」と呼ぶ。
正引きの情報は、ドメインのDNS設定に登録されたAレコード(IPv4)やAAAAレコード(IPv6)で決まる。自分のドメインがどのIPアドレスを指しているかは、パソコンのコマンド「nslookup」や「dig」、DNSを調べられるWebサービスで確認できる。逆引きの情報(PTRレコード)は、そのIPアドレスを管理する事業者が設定するもので、主にメールサーバの信頼性の確認などに使われている。
1つのIPアドレスで複数のサイトを動かす仕組み
共用サーバでは、1つのサーバ(IPアドレス)で多くのドメインのサイトが動いている。それでも目的のサイトが正しく表示されるのは、ブラウザがサーバに接続するときに、どのドメインのサイトを見たいのかを伝えているからだ。HTTPでは「Hostヘッダー」と呼ばれる情報で、HTTPSでは暗号化の手続きの最初に送る「SNI(Server Name Indication)」という情報でドメイン名を伝え、サーバはその名前をもとに表示するサイトを振り分けている。
そのため、ドメイン名ではなくIPアドレスを直接ブラウザに入力すると、サーバはどのサイトを表示すればよいか判断できない。その場合は、サーバに設定された既定のサイトやエラーページが表示されるか、接続そのものが拒否される。HTTPSでは、証明書に書かれたドメイン名とアクセス先が一致しないため、ブラウザに警告が表示されることも多い。かつては、逆引きで決まるドメインが表示されると説明されることもあったが、サイトの振り分けに逆引きは使われていない。
1つのドメインが複数のIPアドレスを持つこともある
反対に、1つのドメインが複数のIPアドレスを持つことも珍しくない。IPv4とIPv6の両方のアドレスを持つサイトは多く、負荷を分散するために複数のサーバのIPアドレスを登録している場合もある。
さらに、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)を使うサイトでは、利用者のいる地域に近いサーバへ自動的に接続されるため、調べる場所によって返ってくるIPアドレスが変わることもある。ドメインとIPアドレスは、DNSを介して結びついてはいるものの、必ずしも1対1の関係ではないのだ。
IPアドレスは誰が管理しているのか
世界中のIPアドレスは、階層的な仕組みで管理されている。最上位にあるのはIANA(Internet Assigned Numbers Authority)で、現在はICANNの関連組織であるPTI(Public Technical Identifiers)がその業務を担っている。
IANAは、地域ごとに置かれた5つの地域インターネットレジストリ(RIR)にIPアドレスを割り振る。北米のARIN、欧州・中東などのRIPE NCC、アジア太平洋のAPNIC、中南米のLACNIC、アフリカのAFRINICの5つだ。日本はAPNICの地域に含まれ、国別のレジストリ(NIR)である一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が、国内のプロバイダや事業者へのIPアドレスの割り振りを担当している。
なお、「.jp」ドメインの登録管理は、JPNICではなく株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が行っている。IPアドレスとドメイン名は、それぞれ別の組織によって管理されているのだ。
ドメインとIPアドレスの関係のまとめ
ドメインとIPアドレスの関係を、代表的なケースごとに整理しておこう。
| ケース | ドメインとIPアドレスの関係 | 仕組み |
|---|---|---|
| 共用サーバで複数のサイトを動かす | 1つのIPアドレスに複数のドメイン | Hostヘッダー・SNIで振り分け |
| IPv4とIPv6の両方に対応 | 1つのドメインに2つ以上のIPアドレス | AレコードとAAAAレコード |
| 負荷分散やCDNを使う | 1つのドメインに多数のIPアドレス | 地域や時間で返るIPが変わる |
| 専用サーバ・VPSで1サイトだけ動かす | 1対1に近い | IPアドレスでも同じサイトが表示されることがある |
世界中のIPアドレスを管理する仕組み
世界中のIPアドレスは、IANAから5つの地域インターネットレジストリ(RIR)へ、さらに国別のレジストリ(NIR)やプロバイダ・事業者を通じて利用者へと割り振られる。日本はアジア太平洋地域を担当するAPNICの下にあり、JPNICが国内の割り振りを担っている
1つのIPアドレスで複数のサイトを見分ける仕組み
共用サーバでは、ブラウザが送るHostヘッダーやSNIのドメイン名をもとに、1つのIPアドレスで複数のサイトを振り分けている。IPアドレスだけでアクセスすると、どのサイトか判断できないため、既定のサイトやエラーが表示される
IPアドレスを管理する組織

IANA(Internet Assigned Numbers Authority)は、IPアドレスやDNSのルートゾーンなど、インターネットで使われる番号や名前を世界的に調整する機能の名称だ。現在はICANNの関連組織であるPTIがその業務を担っている。https://www.iana.org/

JPNIC(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)は、日本国内のIPアドレスやAS番号の割り振りと管理を行う国別のレジストリ(NIR)だ。IPアドレスの登録情報を調べられるWHOISも提供している。https://www.nic.ad.jp/
よくある質問
ドメインとIPアドレスは1対1で対応していますか?
必ずしも1対1ではない。共用サーバでは1つのIPアドレスで多くのドメインのサイトが動いており、反対にIPv4とIPv6の両方に対応したサイトやCDNを使うサイトでは、1つのドメインが複数のIPアドレスを持っている。
IPアドレスを直接入力すると別のサイトやエラーが表示されるのはなぜですか?
共用サーバは、ブラウザが送るHostヘッダーやSNIのドメイン名をもとに表示するサイトを振り分けているためだ。IPアドレスだけではどのサイトか判断できないので、サーバの既定のサイトやエラーページが表示される。HTTPSでは証明書の警告が出ることも多い。
自分のドメインのIPアドレスはどうやって調べますか?
パソコンのコマンド「nslookup ドメイン名」や「dig ドメイン名」で調べられる。DNSを調べられるWebサービスを使ってもよい。CDNを使っている場合は、調べる場所によって結果が変わることがある。
IPアドレスはどこが管理していますか?
世界全体はIANAが調整し、地域ごとの5つのRIRを通じて割り振られている。日本はアジア太平洋地域のAPNICの下にあり、国別のレジストリであるJPNICが国内のプロバイダや事業者への割り振りを担っている。
IPv4のアドレスは足りなくなっているのですか?
IPv4は約43億通りしかなく、アジア太平洋地域では2011年に通常の割り振りが終わっている。そのため、プライベートIPアドレスを使って1つのグローバルIPアドレスを共有する仕組みや、桁数の多いIPv6の利用が広がっている。
ピックアップ用語解説:DNS(ドメインネームシステム)
ドメイン名とIPアドレスを対応づける仕組み。ルートと呼ばれる最上位のDNSサーバから、「jp」や「com」などのトップレベルドメイン、さらにその下のドメインへと、階層的に管理を分担している。ブラウザやメールソフトは、この仕組みを使ってドメイン名から接続先のIPアドレスを調べている。
ピックアップ用語解説:SNI(Server Name Indication)
HTTPSで接続するとき、暗号化の手続きの最初に、接続したいドメイン名をサーバに伝える仕組み。1つのIPアドレスで複数のドメインのサイトを動かしている共用サーバでも、ドメインごとに正しいSSL証明書を使い分けられるのはSNIがあるためだ。