WHOISで何が公開される? ドメインの登録情報と個人情報の守り方

ドメインを取得したことがある人なら、「WHOIS(フーイズ)」という言葉を聞いたことがあるだろう。ドメインの登録者や有効期限などを、誰でも調べられる仕組みだ。かつては、ドメインを登録すると氏名や住所、電話番号までがインターネット上に公開されるのが当たり前だったが、個人情報保護の流れを受けて、その公開範囲はここ数年で大きく変わった。今回は、WHOISの役割と仕組み、2026年時点で何が公開されているのか、自分の情報を守るために知っておきたいポイントを紹介していこう。
WHOISはドメインの登録情報を調べる仕組み
ドメインを登録するときには、氏名やメールアドレス、住所、電話番号などを登録する。サーバ会社やプロバイダに申し込むときも同じような情報を入力するが、大きな違いがある。サーバ会社などに入力した情報は顧客情報として社内で管理されるのに対して、ドメインの登録情報は、その一部がインターネット上に公開され、誰でも調べられるようになっている点だ。この仕組みがWHOISだ。
なぜ登録情報が公開されているのか。インターネットには全体を統括する管理者がおらず、世界中のネットワークやサーバがつながり合って動いている。そのため、障害や迷惑行為などのトラブルが起きたときは、当事者どうしで連絡を取り合って解決するのが原則だ。そこで、ドメインの管理者に連絡を取る手段として、WHOISが用意されてきた。
現在は、ドメインの有効期限や登録している事業者(レジストラ)、ネームサーバを確認したり、取得したいドメインがすでに使われているかを調べたり、商標を侵害するドメインの持ち主を確かめたりする目的でも使われている。
ドメインの登録情報が公開される仕組み
登録者がレジストラを通じて登録した情報は、ドメインごとのレジストリのデータベースに記録され、その一部がWHOISやRDAPで誰でも検索できるように公開される
公開範囲はドメインの種類ごとに決まっている
WHOISで何が公開されるかは、すべてのドメインで共通ではない。「.com」や「.jp」といったドメインごとに、そのドメインを管理する組織(レジストリ)があり、公開範囲はそれぞれのルールで決まっている。.comなどのgTLD(分野別トップレベルドメイン)はICANNのルールに、「.jp」はJPRS(日本レジストリサービス)のルールに従う。
そして、その公開範囲は、ここ十数年で大きく変わってきた。
WHOISの公開範囲が変わってきた流れ
かつてはgTLDでも氏名や住所まで公開されていたが、2018年のGDPRをきっかけに非公開化が進み、2025年にはRDAPへの移行と登録データポリシーの施行で新しいルールが固まった
.comなどのgTLDは個人情報が原則非公開に
かつて.comなどのgTLDでは、登録者の氏名や住所、電話番号、メールアドレスまで、原則としてすべてが公開されていた。転機となったのは、2018年に欧州で施行された個人情報保護の規則(GDPR)だ。これを受けてICANNは公開範囲を見直し、登録者の氏名や連絡先は、本人が同意しない限り公開しない扱いになった。2025年8月には、このルールをまとめた「登録データポリシー」が正式に施行されている。
現在、gTLDの登録情報を調べると、氏名や住所などの欄は「非公開(REDACTED)」と表示されることが多い。組織名や都道府県、国などは公開される場合がある。登録者に連絡を取りたいときは、レジストラが用意する連絡フォームや転送用のメールアドレスを使う。正当な理由がある場合は、レジストラやICANNの窓口を通じて、非公開の情報の開示を求めることもできる。
また、調べるための仕組みそのものも変わった。gTLDでは、2025年1月から、従来のWHOISに代わって「RDAP」という新しい仕組みが登録情報の正式な提供元になっている。RDAPは結果を機械で扱いやすい形式で返す仕組みで、ICANNのサイト(ICANN Lookup)などから、ブラウザで調べられる。
.jpドメインは登録者名と公開連絡窓口が公開される
一方、「.jp」ドメインでは、JPRSのWHOISで登録情報が公開されている。個人でも登録できる汎用JPドメイン(example.jpなど)の場合、公開されるのは主に登録者名と「公開連絡窓口」だ。
公開連絡窓口は、トラブルのときに連絡を受けるための窓口で、氏名(名称)、住所、電話番号、メールアドレスが公開される。登録者本人に確実に連絡を取れることを条件に、本人ではなく、ドメインを管理している事業者などの情報にすることもできる。多くのドメイン会社は、自社の情報を公開連絡窓口に設定するサービスを用意している。
個人で汎用JPドメインを登録した場合は、登録者名も気になるところだろう。JPRSには、個人の登録者名をWHOISに表示しないようにする設定があり、ドメインを管理している事業者を通じて申し込める。ただし、この設定に対応していない事業者もあるので、事前に確認しておこう。なお、co.jpなどの属性型JPドメインでは、組織名に加えて担当者の情報なども公開される。
gTLDと汎用JPドメインで公開される情報
gTLDでは氏名や連絡先が原則非公開になった一方、汎用JPドメインでは登録者名と公開連絡窓口が公開される。公開連絡窓口は事業者の情報にでき、個人の登録者名は非表示にする設定もある
WHOISの調べ方
登録情報は、基本的にそのドメインを管理するレジストリのデータベースにある。.jpドメインならJPRSのWHOIS(whois.jprs.jp)で調べられ、.comなどのgTLDならICANN LookupなどのRDAPに対応したサービスで調べられる。パソコンのコマンド「whois ドメイン名」でも調べられるが、gTLDではWHOISの提供をやめているレジストラもあり、結果が返らないことがある。
ドメイン会社のサイトでは、複数の種類のドメインをまとめて調べられる検索サービスを用意しているところも多い。ドメインを取得する前に空き状況を確かめたいときは、こうしたサービスを使うと便利だ。
自分の情報を守るために確認したいこと
ドメインを登録するときは、まず登録先のドメイン会社が、公開連絡窓口の代行(いわゆる「WHOIS情報公開代行」)や、個人の登録者名の非表示設定に対応しているかを確認しよう。サーバ会社でまとめてドメインを取得する場合も同じだ。
また、登録情報は公開されなくても、正しく登録しておく必要がある。メールアドレスが古いままだと、更新の案内や、ドメインの移管・不正な変更の通知を受け取れない。登録情報に誤りがあると、ドメインの利用を停止される場合もある。登録しているメールアドレスは、ふだん確認しているものにしておこう。
WHOISで公開される情報のまとめ
| 比べる点 | .comなどのgTLD | 汎用JPドメイン(.jp) |
|---|---|---|
| ルールを決める組織 | ICANN | JPRS |
| 登録者の氏名 | 原則非公開(同意すれば公開) | 公開(個人は非表示にできる) |
| 住所・電話・メール | 原則非公開。連絡フォームなどで代替 | 公開連絡窓口として公開(事業者の情報にできる) |
| 登録日・有効期限・ネームサーバ | 公開 | 公開 |
| 調べ方 | RDAP(ICANN Lookupなど) | JPRS WHOIS(whois.jprs.jp) |
よくある質問
WHOISとは何ですか?
ドメインの登録者や有効期限、登録している事業者、ネームサーバなどの登録情報を、誰でも調べられる仕組み。インターネットのトラブルを当事者どうしで解決するために、ドメインの管理者に連絡を取る手段として用意されてきた。
ドメインを取ると住所や電話番号が公開されますか?
.comなどのgTLDでは、2018年以降、氏名や住所、電話番号は原則非公開になっている。汎用JPドメインでは登録者名と公開連絡窓口が公開されるが、公開連絡窓口はドメイン会社などの情報にでき、個人の登録者名は非表示にする設定もある。
WHOIS情報公開代行とは何ですか?
WHOISに公開される連絡先を、登録者本人ではなくドメイン会社の情報にするサービス。.jpドメインでは公開連絡窓口をドメイン会社の情報にする形で提供されている。対応状況は会社によって異なるので、登録前に確認しよう。
RDAPとは何ですか?
WHOISに代わる、ドメインの登録情報を調べるための新しい仕組み。結果を機械で扱いやすい形式で返す。.comなどのgTLDでは、2025年1月からRDAPが登録情報の正式な提供元になっている。
ドメインの登録情報は嘘でもいいですか?
よくない。公開されない項目も含めて、登録情報は正しく登録する必要がある。メールアドレスが古いと更新や不正な変更の通知を受け取れず、登録情報に誤りがあるとドメインの利用を停止されることもある。
ピックアップ用語解説:レジストリとレジストラ
レジストリは、「.com」や「.jp」などのドメインごとに登録情報のデータベースを管理する組織で、.comはVerisign、.jpはJPRSが担っている。レジストラは、利用者からドメインの登録を受け付け、レジストリのデータベースに登録する事業者だ。gTLDのレジストリやレジストラはICANNと契約を結んで業務を行っている。
ピックアップ用語解説:GDPR(一般データ保護規則)
2018年5月に施行された、欧州連合(EU)の個人情報保護の規則。EUの人の個人情報を扱う事業者に、厳しい管理を求めている。世界中のドメインの登録情報を扱うICANNも対応を迫られ、gTLDのWHOISで個人情報を原則非公開にするきっかけになった。





