WordPressか、ノーコードか? CMSの選び方と、サーバに必要な条件

ホームページを作るとき、多くの人が使うのがCMS(コンテンツ管理システム)だ。HTMLの知識がなくても、ブラウザから文章や画像を更新できる。15年ほど前は、WordPressやMovable Type、XOOPSなど、いくつものCMSが並び立っていたが、その顔ぶれはすっかり変わった。今では、レンタルサーバに入れずに使えるサービス型のCMSも広く使われている。今回は、2026年のCMSの選び方と、WordPressを使うときにサーバに求められる条件を紹介していこう。
CMSはサーバの上でページを組み立てる仕組み
WordPressのようなCMSは、文章や画像の情報をデータベースに保存しておき、ページが表示されるたびに、PHPなどのプログラムがその情報からHTMLを組み立てる。このような仕組みのサイトを「動的なサイト」と呼ぶ。そのため、WordPressを動かすには、サーバでPHPとデータベース(MySQLやMariaDB)が使えることが前提になる。
あらかじめ用意したHTMLファイルをそのまま表示する「静的なサイト」に比べると、ページを組み立てる分だけサーバの処理が多くなる。サーバの性能や設定が、サイトの表示の速さに直結するのはこのためだ。
15年でCMSの位置づけはこう変わった
2010年ごろは、WordPress、Movable Type、XOOPS、Joomla!などが使われ、どれを選ぶかで迷う時代だった。現在は、WordPressが圧倒的な存在になっている。調査会社W3Techsの2026年10月17日時点の集計では、CMSを使っているサイトのうち58.4%がWordPressで、全Webサイトに占める割合でも39.6%に達する。
一方で、サーバを用意せずに申し込むだけで使え、プログラムの知識がなくてもサイトを作れる「ノーコード」のサービスも存在感を増している。ネットショップのShopify、ホームページ作成のWixやSquarespaceが上位に並び、日本ではSTUDIOなどの国産サービスも広く使われている。さらに、内容の管理だけを受け持ち、表示の部分は別に作る「ヘッドレスCMS」も、制作会社や企業のサイトで採用が進んでいる。
CMS市場に占める割合(2026年10月)
W3Techsの集計(2026年10月17日時点)による、CMSを使っているサイトの中での割合。WordPressが6割近くを占め、次いでサービス型のShopify、Wix、Squarespaceが続く。かつて人気のあったJoomla!は1.6%にとどまる
CMSの3つのタイプと選び方
現在のCMSは、大きく3つのタイプに分けられる。
1つ目は、WordPressのようにレンタルサーバに設置して使う「サーバに入れる型」だ。デザインや機能を自由に変えられ、プラグインで機能を増やせる。その代わり、CMS本体やプラグインの更新、バックアップなどの管理は自分で行う必要がある。
2つ目は、Wix、Shopify、STUDIOなどの「サービス型」だ。プログラムを書かずに、画面上の操作だけでサイトを作れることから「ノーコード」とも呼ばれる。申し込むだけで使え、サーバの管理や更新はサービス側が行ってくれる。手軽な反面、使える機能やデザインはサービスの範囲内に限られ、ほかのサービスへ引っ越すのも簡単ではない。
3つ目は、microCMSやContentfulなどの「ヘッドレス型」だ。記事などの内容を管理する機能だけを提供し、サイトの見た目は別に作って組み合わせる。表示が速く、アプリなど複数の場所に同じ内容を配信できるが、作るには開発の知識が必要になる。
自分で手を入れながら長く育てたいならWordPress、手間をかけずにすぐ始めたいならサービス型、開発体制のある企業サイトならヘッドレス型、というのが一つの目安だ。
CMSの3つのタイプ
レンタルサーバに設置する型、申し込むだけで使えるサービス型(ノーコード)、内容の管理だけを担うヘッドレス型の3つ。サーバ選びが必要になるのは主にWordPressなどのサーバに入れる型だ
WordPressに必要なサーバの条件
WordPressを使う場合は、サーバが動作の条件を満たしているかを確認しよう。WordPressの公式サイトでは、PHP 8.3以上、MySQL 8.0以上またはMariaDB 10.11以上、HTTPSへの対応を推奨している。古いバージョンでも動く場合はあるが、サポートが終わったPHPやデータベースは、セキュリティ上の弱点を抱えることになる。2026年10月時点の最新版はWordPress 7.1系で、WordPress 7.0からは、動作に必要なPHPの最低バージョンが7.4に引き上げられている。
かつては、レンタルサーバで作れるデータベースの数が1つだけ、というプランも珍しくなかった。現在は、多くのレンタルサーバで複数のデータベースを作れ、管理画面からPHPのバージョンを切り替えられる。メモリについても、共用サーバでCPUやメモリの割り当てを公開するプランが増えた。高速なNVMe SSDや、ページを一時的に保存して表示を速くするキャッシュの仕組みも、サーバを比べるポイントになっている。
レンタルサーバ選びのチェックポイント
WordPressを使うためにレンタルサーバを選ぶなら、下の図にまとめた6つの点を確認しておこう。PHPとデータベースのバージョン、HTTPSへの対応に加えて、表示の速さにかかわる性能や、不正なアクセスを防ぐWAF、自動バックアップと復元、本番と別に試せるステージングといった、安全に運用するための機能も比べておきたい。
多くのレンタルサーバには、WordPressの設置やSSLの設定までをまとめて済ませる機能がある。初めてなら、こうした機能を使うのが確実だ。
WordPressを使うときのサーバのチェックポイント
PHPとデータベースのバージョン、HTTPS、性能、簡単インストール、安全と復旧の機能を確認する。推奨バージョンはWordPress公式サイトの案内(2026年10月時点)による
WordPressは「入れた後」が大切
WordPressは世界中で使われている分、攻撃の標的にもなりやすい。被害の多くは、更新されていない古いプラグインやテーマの弱点を突かれて起きている。WordPress本体、プラグイン、テーマはこまめに更新し、使っていないプラグインやテーマは削除しておこう。
サーバのPHPのバージョンも、サポートが続いているものに上げておきたい。ただし、古いプラグインが新しいPHPで動かないこともあるので、ステージング機能などで試してから切り替えると安心だ。万一に備えて、ファイルとデータベースのバックアップを、サーバとは別の場所にも保管しておこう。
CMSの3つのタイプのまとめ
| 比べる点 | サーバに入れる型 | サービス型 | ヘッドレス型 |
|---|---|---|---|
| 代表例 | WordPress | Wix・Shopify・STUDIO | microCMS・Contentful |
| サーバ | レンタルサーバなどが必要 | 不要(サービスに含まれる) | 表示部分の置き場所が必要 |
| 自由度 | 高い | サービスの範囲内 | 高い |
| 更新・保守 | 自分で行う | サービス側が行う | 表示部分は自分で行う |
| 向いている人 | 自分で手を入れて長く育てたい人 | 手間をかけずにすぐ始めたい人 | 開発体制のある企業・制作会社 |
よくある質問
WordPressを使うにはどんなサーバが必要ですか?
PHPとデータベースが使えるレンタルサーバが必要だ。WordPressの公式サイトでは、PHP 8.3以上、MySQL 8.0以上またはMariaDB 10.11以上、HTTPSへの対応を推奨している。多くのレンタルサーバは、管理画面からWordPressを設置できる機能を用意している。
WordPressとノーコードのサービスはどちらがよいですか?
自分で手を入れながら長く育てたいならWordPress、手間をかけずにすぐ始めたいならWixやSTUDIOなどのノーコードのサービス(サービス型)が向いている。サービス型はサーバの管理が不要な反面、機能やデザインはサービスの範囲内に限られ、引っ越しも簡単ではない。
ヘッドレスCMSとは何ですか?
記事などの内容を管理する機能だけを提供し、サイトの見た目は別に作るCMS。表示が速く、Webサイトとアプリなど複数の場所に同じ内容を配信できる。作るには開発の知識が必要で、企業や制作会社のサイトでよく使われる。
WordPressで使うPHPのバージョンはいくつがよいですか?
WordPressの公式サイトはPHP 8.3以上を推奨している。サポートが終わった古いPHPはセキュリティ上の弱点を抱えるため、サポート中のバージョンを使おう。切り替える前に、プラグインやテーマが新しいPHPで動くかを確認しておくと安心だ。
1つのサーバで複数のWordPressを動かせますか?
多くのレンタルサーバでは、複数のドメインとデータベースを使えるため、複数のWordPressを動かせる。ただし、同じサーバのCPUやメモリを分け合うことになるので、アクセスの多いサイトがある場合は、プランの性能にも余裕を持たせよう。
ピックアップ用語解説:phpMyAdmin
MySQLやMariaDBのデータベースを、ブラウザから操作できる管理ツール。データベースの中身の確認や、バックアップ(エクスポート)と復元(インポート)などが行える。多くのレンタルサーバが標準で用意しているが、操作を誤るとサイトが表示されなくなることもあるので、作業の前にバックアップを取っておこう。
ピックアップ用語解説:ヘッドレスCMS
サイトの見た目(ヘッド)を持たず、記事などの内容を管理する機能だけを提供するCMS。内容はAPIという仕組みで取り出し、別に作ったWebサイトやアプリで表示する。国産のmicroCMSや、海外のContentfulなどがある。





