日本の「.jp」は今も少ない? 国別の登録数で見るドメイン事情と選び方

人口や経済の規模が近い国どうしなら、ドメインの登録数も同じくらいになりそうなものだ。ところが、日本の「.jp」と、ドイツの「.de」の登録数には、今も10倍近い差がある。15年ほど前にもこの差は話題になったが、その後どう変わったのだろうか。今回は、最新の登録数をもとに、国ごとのドメイン事情と、ドメインを選ぶときに知っておきたいことを紹介していこう。
日本のドメイン登録数は今も少ない
日本レジストリサービス(JPRS)によると、2026年10月1日時点のJPドメインの登録数は190万1,067件で、初めて190万件を超えた。2010年には約117万件だったので、15年あまりで1.6倍に増えたことになる。この1年では8万件以上増え、直近5年でもっとも大きな伸びだった。
それでも、海外と比べると差は大きい。ドイツの「.de」は2026年8月末で約1,815万件、イギリスの「.uk」は約1,040万件、中国の「.cn」は2025年末で約2,077万件にのぼる。人口が日本の3分の2ほどのドイツと比べても、登録数は10倍近い。2010年当時は約12倍の差だったので、少し縮まったとはいえ、桁違いの状況は変わっていない。
国別ドメインの登録数
各国のレジストリが公表している登録数。日本の.jpは約190万件で、ドイツの.de(約1,815万件)の10分の1ほど。.comなど国を問わないドメインは含まない
数の差は「使い方」の差
ただし、登録数の差が、そのままインターネットの活用度の差を表しているわけではない。数の背景には、国ごとのドメインの使われ方や、レジストリの方針の違いがある。
ドイツのレンタルサーバでは、サーバの契約に独自ドメインの登録が含まれるプランが広く提供されている。サーバを契約すれば、自然にドメインも1つ持つことになる仕組みだ。「.de」の登録数は今も伸びていて、2026年8月末には前年より3%多い約1,815万件になった。
イギリスの「.uk」は、国外に住む人や会社も登録できる。2014年6月からは「example.uk」のように、「.co.uk」を挟まない短い形でも登録できるようになった。ただし、登録数は2010年ごろの約1,177万件から、ゆるやかに減っている。
中国の「.cn」は、2007年に始まった登録料「1元」のキャンペーンで急増し、2008年末には1,300万件を超えて国別ドメインで世界一になった。しかし、不正な利用が増えたことから2009年にキャンペーンが打ち切られ、本人確認も厳しくなると、2011年初めには約340万件まで急減した。その後は持ち直し、現在は2,000万件台で推移している。登録数は、こうした料金や制度の変化にも大きく左右されるのだ。
国ごとのドメイン事情
登録数の差は、ドメインを含むサーバプランの提供、国外からの登録の可否、料金のキャンペーンなど、国ごとの制度や売られ方の違いから生まれている
日本では.comや新しいドメインもよく使われる
ここで比べているのは、国ごとに割り当てられたドメイン(ccTLD)の数だけだ。日本の企業や個人が使っている「.com」や「.net」などの分野別トップレベルドメイン(gTLD)は、「.jp」の登録数には含まれない。2010年代には新しいgTLDも次々と登場した。日本のGMOドメインレジストリが運営する「.shop」は、2025年7月に世界全体で累計1,000万件を超え、「.tokyo」のような地域名のドメインも生まれている。
また、自分のドメインでサイトを作る代わりに、SNSのアカウントや、ネットショップのモール、ブログサービスなどで情報を発信する人や店もある。ドメインを持たなくても発信できる手段が充実していることも、登録数が伸びにくい理由の一つと考えられる。
一方で、「.jp」には、日本国内に住所があることが登録の条件になっているという特徴がある。会社などが登録する「.co.jp」は、1つの組織につき1つしか登録できない。誰でも登録できるドメインに比べると数は増えにくいが、そのぶん「日本の会社やサービスだ」という信頼につながっている。
国のドメインを世界向けに売る国もある
国ごとのドメイン(ccTLD)の中には、文字の意味を生かして、世界中に向けて売り出しているものもある。よく知られているのが、南太平洋の島国ツバルの「.tv」だ。「テレビ」を連想させるこのドメインの使用権を2000年に海外の企業に貸し出し、その収入で同じ年に国連に加盟した。
モンテネグロの「.me」は「私」、英領インド洋地域の「.io」はITの「入出力」を連想させ、スタートアップやWebサービスでよく使われている。最近、特に注目を集めたのがカリブ海の島アンギラの「.ai」だ。生成AIのブームで登録が急増し、2026年1月には登録数が100万件を超えた。2025年のドメインの収入は約8,500万ドルにのぼり、政府の収入の半分近くを占めたと報じられている。
国のドメインを世界向けに売る例
文字の意味を生かして、世界中から登録されている国別ドメインの例。.aiは生成AIブームで登録が急増し、2025年にはアンギラの政府収入の半分近くを占めたと報じられている
ドメインを選ぶときに知っておきたいこと
国のドメインを使うときは、その国や地域の事情に左右されることを知っておきたい。たとえば「.io」は、2024年10月にイギリスが英領インド洋地域(チャゴス諸島)をモーリシャスに返還することで合意したと発表され、ドメインの今後を心配する声が上がった。国や地域の名前が変わって「IO」というコードがなくなると、ドメインも数年の猶予期間ののちに廃止される決まりがあるためだ。2026年4月の時点では、返還の手続きは止まっていると報じられているが、国や地域のドメインは、こうした国の事情に左右されることがある。
日本向けのサイトなら、信頼感のある「.jp」(会社なら「.co.jp」)、世界中で通じる「.com」が無難な選択肢だ。ドメインの料金は、取得時の価格だけでなく、毎年かかる更新料も確認しよう。ドメインによっては、初年度だけ安く、2年目から高くなるものもある。また、ブランドを守るために、よく使われる種類のドメインをあわせて取得しておく企業も多い。
国別ドメインの登録数のまとめ
| 国(ドメイン) | 2010年ごろ | 最新 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 日本(.jp) | 約117万件 | 約190万件(2026年10月) | 国内に住所が必要。この1年で大きく増加 |
| ドイツ(.de) | 約1,377万件 | 約1,815万件(2026年8月) | サーバ契約にドメインを含むプランが広く提供 |
| イギリス(.uk) | 約1,177万件 | 約1,040万件(2026年5月) | 海外からも登録可能。ゆるやかに減少 |
| 中国(.cn) | 一時期1,500万件 | 約2,077万件(2025年末) | 1元キャンペーンで急増、打ち切り後に急減した経緯 |
よくある質問
JPドメインは今いくつ登録されていますか?
JPRSによると、2026年10月1日時点で190万1,067件。初めて190万件を超え、この1年で8万件以上増えた。このうち約7割が、個人でも登録できる汎用JPドメイン(example.jp)だ。
日本のドメイン登録数はなぜ少ないのですか?
比べているのは国別ドメインの数で、日本の企業や個人が使っている.comや新しいgTLDは、JPドメインの数に含まれない。また、.jpは国内に住所がないと登録できない。SNSやネットショップのモールなど、ドメインを持たずに発信できる手段が充実していることも理由と考えられる。
.jpと.comはどちらがよいですか?
日本向けのサイトなら、国内に住所が必要で信頼感のある.jp(会社なら.co.jp)が向いている。世界向けのサービスなら、どこでも通じる.comが無難だ。どちらも、取得時の価格だけでなく更新料も確認しよう。
.ioや.aiのドメインを使っても大丈夫ですか?
多くのサービスで使われているが、国や地域のドメインなので、その国の事情に左右される可能性がある。.ioは2024年に管理する地域の返還の合意が発表され、今後を心配する声が上がった(2026年4月時点では手続きが止まっていると報じられている)。長く使うドメインなら、ルールや料金の変化にも注意しておこう。
ドメインの登録数が多い国はどこですか?
国別ドメインでは、中国の.cn(約2,077万件)やドイツの.de(約1,815万件)が多い。イギリスの.ukも約1,040万件ある。世界全体では、国を問わず登録できる.comが約1億6,660万件(2026年6月末)と圧倒的に多い。
ピックアップ用語解説:レジストリ
「.com」や「.jp」などのドメインごとに、登録情報のデータベースやDNSの基盤を管理する組織。.comはVerisign、.jpはJPRS、.deはDENIC、.ukはNominetが担っている。利用者はレジストラ(登録事業者)を通じてドメインを登録する。
ピックアップ用語解説:ccTLDとgTLD
ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は、「.jp」「.de」のように国や地域ごとに割り当てられたドメイン。gTLD(分野別トップレベルドメイン)は、「.com」「.net」や「.shop」のように、国を問わず使えるドメインだ。





